皮は、肌の外側から順に角質層、顆粒層、有棘層、基底層という4つの層に分けられます。このうち、表皮の一番内側にある基底層でつくられた細胞が分裂して新しい細胞をつくり、少しずつ形を変えながら肌の外側の層に向かって押し上げられます。角質層まで到達した細胞がやがて垢となって剥がれ落ちることで、表皮の細胞が生まれ変わります。肌に残されてしまったメラニンはシミやくすみの原因になってしまいます。また、肌に古い細胞が残ってしまっているということは、肌のバリア機能の低下につながってしまうことになります。
ターンオーバーの周期は、正常で若年の頬は、基底層でつくられた細胞が角質細胞になるまでが約14日間、さらに角質細胞が角片としてはがれ落ちるまで約14日間かかります。この基底層で作られた細胞が有棘層、顆粒層を経て、角質細胞になるまでを「細胞の分化」、角質層まで上がってきた細胞が角片としてはがれ落ちるまでを「角質層の乖離(かいり)」と呼びます。他の部位、例えば手や足などは、血行や表皮の厚さなどによりターンオーバーが比較的遅い部位です。
また、ターンオーバー周期には個人差があります。一般的には加齢によって細胞の分化と角層の剥離が遅くなります。新陳代謝が低下し、ターンオーバーの周期が遅くなります。
紫外線が肌に与える影響は様々ですが、ターンオーバーにも大きな影響を与えています。紫外線によるダメージを受けると肌は炎症を起こし、そのダメージを回復させるためにターンオーバーの前半部分である細胞の分化を異常に加速させてしまいます。その結果、未熟な細胞が形成され、皮膚バリアの低下につながります。また紫外線を浴びると、次のダメージを未然に防ぐためにメラニンを生成します。過剰にメラニンが生成されるとシミの原因にもなります。
乾燥などにより角層の水分量が低下すると、角質層の剥離に関与する酵素の活性が落ちてしまいます。これによって角層の剥離が停滞し、ターンオーバー速度が低下します。そして、肌のpHや間違った生活習慣、ストレスもターンオーバーに大きな影響を与えます。